創業50周年を迎える株式会社植田板金店。創業当初からの屋根・外壁工事を中心とする板金業の枠を越えて、2024年には屋根・小屋の展示場&コワーキングスペース「ひとやね」をオープンするなど新規事業にも挑戦し続けています。

今回、レプタイルでは、代表の丸尾による「企業理念の言語化」のお手伝いをさせていただきました。レプタイル代表の丸尾と、植田板金店の植田博幸社長との企業理念を再構築するセッションを行い、その内容をもとに、各事業部でも自分たちのビジョンや行動指針を言葉にするための理念研修を、丸尾のリードのもと実施しました。
今回は、植田社長と各事業部のリーダーの皆さんに、実際に言語化に取り組んでみて感じたことや、これからの展望についてお話を伺いました。
今回お話を伺った皆さま

左から
〔ひと事業部〕白神岬さん、岡部耀平さん、辰巳健吾さん
〔代表取締役〕植田博幸社長
〔レプタイル代表取締役〕丸尾宜史(インタビュアー)
〔やね事業部〕鈴木一行さん
〔そと事業部〕土岐潤さん
〔やね事業部〕山本隼さん
【ひと事業部】言葉にすることで見えてきた自分たちのカタチ
丸尾:今回の企業理念研修では、各部署で理念や行動指針を言葉にしていただきました。実際に言語化してみて、良かったことや感じたことを教えてください。屋根・小屋の展示場を兼ねたコワーキングスペース「ひとやね」を運営する、ひと事業部ではいかがでしたか?

岡部さん(ひと事業部):率直に言うと、すごく楽しかったですね。「ひとやね」を立ち上げて2年、「とにかくやってみよう!」と走ってきたので、チームでちゃんと振り返る時間ってなかったんです。だから今回の研修は、これまでを整理するすごくいいきっかけになりました。
これからの方向性を考えるヒントにもなったし、何より自分たちがやっていることをちゃんと整理できたので、外に向けて説明するのがすごくラクになりました。実際に、「何やってるか分かりやすくなったね」って言われることが増えました。

丸尾:確かに、「ひとやね」は外部の方に説明するのが難しい事業ですよね。方向性はあっても、言葉にするのが難しいとお聞きしていましたが、そこが変わってきたのですね。
白神さん(ひと事業部):そうなんです。ずっと「自分は何者で、何をしているのか」をちゃんと説明するのが難しくて…。「なんで板金屋がコワーキングスペースを?」と聞かれたら、「社長が勢いで…」と答えるくらいで、ちゃんと説明できず雰囲気でごまかしてたんですよ。でも内心では「うまく伝えられないな」とモヤモヤしてました。
でも今回、理念を言葉にしたことで、「なぜ板金屋がひとやねを運営しているのか」も含めて、きちんと自己紹介できるようになりました。はじめましての方に説明する機会が多いので、自分たちの言葉にできたことがかなり大きな武器になったなと感じています。

【やね事業部】共通言語でチームが変わる
丸尾:遮熱事業を担う「やね事業部」は立ち上げから4年目になりますね。今回、理念を自分たちの言葉にしてみて、印象的だったことはありますか?
山本さん(やね事業部):やね事業部は、年齢層が高めで、社会経験が豊富なメンバーが多いので、みんなスムーズに理解してくれました。今回決めたクレド(信条)やバリュー(価値観)も「まずは自分たちが率先して体現していこう」とチームで話しています。

一方で、やね事業部や本社には若いメンバーもいるため、一度で全部を理解してもらえるかな…と少し不安もあります。今回の研修で終わりにせずに、これからもっと広げていくチャンスにしたいですね。私たち自身が強い想いを持てている“今”だからこそ、周りにも自然と伝わっていくんじゃないかなと。ただ伝えるだけでなく、言葉が“共通言語”として浸透していくように。この共通言語ができたことで、みんなで同じ方向を向きやすくなったと思います。
丸尾:お話を聞いていて、部署を越えて共通言語が生まれたことが大きな効果だったのかなと感じました。理念が浸透してきたことで、実際にチームの雰囲気に変化はありましたか?
山本さん:かなり変わりましたね。社長の言葉を借りると、以前は「家庭内別居」みたいな状態で(笑)。部署同士も、部署内でもどこかバラバラで、事務的な連絡ばかりでした。でも今回の取り組みで「自分たちはこうありたい」という共通の軸ができたことで、一体感が生まれてきたと感じます。まだ課題はありますが、言語化前と比べて、気持ちの面ではずっと良くなっていると実感しています。

丸尾:直販部隊として、やね事業部は立ち上げから成長段階にありますが、今回の理念の言語化を経て、どんなことを感じましたか?
鈴木さん(やね事業部):普段思っていることを言語化して、周りに伝えるきっかけになりましたね。「なぜこのビジョンなのか」を考えたとき、自分が植田板金店に入社した理由とつながっていて、改めて納得感がありました。

僕が前職で大手ハウスメーカーに10年ほど勤めていたとき、「これは本当に自分が心から提案したいことなのか?」と迷いながら仕事をすることもありました。そんなとき、たまたま植田社長から声をかけてもらって入社したんです。入社当時はうまく言葉にできていなかったのですが、今回の取り組みを通して、「自分はこれがやりたかったんだな」と改めて腑に落ちました。
若い営業メンバーにも、ただ仕事をこなすだけではなくて、その意味を理解して動いてほしいなと思っています。そうすると、きっと熱量がもっと上がるはずなので。
【そと事業部】現場で息づく言葉の力
丸尾:「そと事業部」は職人さんが多い部署ですよね。今回、植田社長が策定した企業理念をもとに行動指針を落とし込んでみて、どんな風に感じましたか?
土岐さん(そと事業部):そと事業部は植田板金店の原点とも言える部署です。だからこそ、理念をどうやって現場に浸透させるかがすごく大切でした。理念や経営方針は若い方にはまだピンとこないのではないかと。だから直属の上司がちゃんとかみ砕いて、わかりやすく伝えることが大切だと思っています。

それと、現状では「ひとやね」に来たことがない人も多いなか、そと事業部はなるべく多く来るようにしています。同じ植田板金店の仲間がここで働いていることを体感し、来る意味を考えたときに、部署を超えて会社全体を見ることができるんじゃないかと思っています。
丸尾:行動指針としてまとめた「七か条」は、わかりやすくて現場でも使いやすそうでしたね。
土岐さん:はい、難しい言葉は使わずシンプルにしました。これから朝礼で伝えていくだけじゃなくて、車の中とか普段目につくところに掲げておきたいと思っています。そうすることで、自然と「自分は植田板金店の一員なんだ」という意識が育って、モチベーションやチーム力も上がるんじゃないかと。
若いメンバーには、今回のような会議や取り組みを続けることで、「自分たちの仕事が会社全体とどうつながっているか」とか「この会社で働く意味」が、少しずつ伝わっていくと思っています。それがみんなの頭の中で一周したとき、おそらくもっといい会社になっていくと感じました。
辰巳さん(ひと事業部):最初は「行動指針7箇条」という名前で作っていたんですが、もっと伝わりやすくしようと「取るべき行動7つ」と題し、「私は◯◯をします」という表現に言い換えて、自分自身が発言する形の発表にしました。

【ひと事業部】言語化の背景と、会社のこれから
丸尾:辰巳さんは経営企画課として、会社全体を見渡せる立場ですよね。今回、企業理念を整理して、各事業部で理念研修をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?
辰巳さん(ひと事業部):それぞれの事業部でやっていることがバラバラで、共有があまりされていないように感じていたんです。全体が同じ方向を向けるようにしたくて、社長に相談しました。

丸尾:事業の幅も広がって、以前とは会社の姿も変わってきていますもんね。
辰巳さん:そうなんです。以前の植田板金店のままだったら今まで通りで良かったんですが、今はコワーキングスペースの運営など、事業が本当に多岐にわたっています。「なんで板金店がコワーキングスペースを運営するのか」という点は、自分自身も含めてみんながしっくりきていなかったんです。でも今回の取り組みで「ひとやねは、何のためにあるのか」がちゃんと言葉になり、存在意義がはっきりしたのが良かったなと思っています。
丸尾:確かに理念が明確になると、外への発信もしやすくなりますよね。
辰巳さん:まさにその通りで、コーポレートサイトのリニューアルを考えていたんですが、事業の方向性が曖昧だと、どうまとめたらいいか迷っていました。だからこそ、まずビジョン・ミッション・バリューを整理してから、発信やブランディングにつなげたいと考えたんです。

【植田社長】“自分ごと”の理念で目指す植田板金店3.0
丸尾:企業理念はもともとありましたが、今回改めて再構築されてみて、どうでしたか?
植田社長:辰巳のおかげですが、タイミングが本当に抜群でした。新規事業が増えて、社内の方向性がバラバラだと感じていたので、「何かしなければ」と思いつつも、どう進めたらいいか悩んでいたところに、今回の企業理念再構築セッションがあって。おかげで進むべき道が整理できました。
最初は、全社の理念をひとつにまとめるイメージでしたが、丸尾さんから「部署ごとに理念をつくってみませんか?」と提案されて、それがすごく新鮮で。みんなのモチベーションも上がるし、それぞれが自分ごととして考えられて、結果的にすごく良かったです。

丸尾:理念を再構築してみて、どんな変化を感じましたか?
植田社長:これまで曖昧だったことが、言葉になって、改めて進む方向がはっきりしました。すでに社内で実践していたことを整理できたのも大きいですし、部署ごとに「まとまろう」という意識が生まれたのも良かったです。
来年、会社が50周年を迎えるタイミングで、この再構築した理念を社員や家族、取引先に伝えられたらすごく意味があるなと思っています。板金屋でここまで理念をつくり込んでいる会社って、全国でもあまりないんじゃないかなと。
実際、大手企業の方に「これ誰がつくったんですか?うちは上から紙一枚おりてくるだけですよ」と驚かれました。でも、うちは社員が自分たちで考えて形にした。それが本当にすごいことだと思っています。

丸尾:まさに「日本一の板金屋」を体現してきていますね。
植田社長:そうですね。こうやって言語化ができて、「日本一の板金屋」というのがより見えてきました。売上だけでなく社員やお客様、取引先など、関わる人の幸せを大切にしていきたいです。
今回、みんなが思っていた以上に意見を出し合ってくれたので、僕一人ではできなかったものが、すごく良い形になったと感じています。
今回つくった理念や各部署のビジョン、行動指針をどう浸透させるかが次の課題。部署ごとの朝礼や、パンフレットやホームページでの見せ方の検討、車に掲示など、いろんな方法があります。一気に全部変えるのは難しいですが、まずは上層部の意識が変われば、全体も少しずつ変わっていくと信じています。まさに今「植田板金店3.0」という新しい段階にきた感じがしています。

丸尾:先ほど言われたとおり「与えられたものじゃなくて、自分たちで考えてつくった」というのが本当にすごいことですよね。私自身、企業は言葉でできていると思うのですが、その言葉をつくれる人がそれぞれの部署にいる―植田板金店がこの体制になったことが、今回の言語化の成果かなと思っています。
「日本一の板金屋」これからのチームづくり
丸尾:最後に、これからどんなチームで進んでいきたいかを聞かせてください。
岡部さん:「ひと事業部」は、お客様と接するフロントの部署として、外だけでなく、社内にも熱量を広げていく役割があると思っています。押し付けるのではなく、自然に伝わっていくようなやり方を模索していきたいです。
白神さん:僕も近い考えです。浸透って「させるもの」ではなく、「自分で腹落ちしていくもの」だと思うんです。自分たちの姿勢で示すことで、周りにも「こうやれば良いんだ」と浸透していけるようになればと思っています。

鈴木さん:信念を持てるチームを作りたいですね。屋根や塗装の業界は競合も多いですが、信念があればブレない。自分の信念を持って、若手も自分で考えられるチームを目指します。
山本さん:「ひとやね」のメンバーがまず一丸となって進むことを意識したいです。僕自身は潤滑油のような役割で、協力しながら進めたいなと。価値観を磨きながら、自分たちで努力して、それぞれがステップアップしながらまとまっていくような形を目指しています。

土岐さん:そと事業部は、若手の職人も多く「言われたことをやる」傾向が強い。でも成功のイメージを持てば、目の前の作業にも工夫が生まれる。そんな工夫を持って仕事をするチームになれればと思っています。
また、そと事業部とひとやねは、同じ会社として相乗効果を生みお互いに影響し合う存在だと思うので、その関係性を若い職人たちにもしっかり伝えていきたいです。
辰巳さん:僕は「そと事業部でもやね事業部でもできないことを全部やるのがひと事業部」と思っているので、それを形にできるように頑張りたいです。
植田社長:今日みんなと話して、改めて心強いメンバーだなと感じました。今までもかなり任せてきましたが、今後はもっと任せていきたい。いろんな取り組みを進める中で、バランスを取るのは簡単じゃないけど、みんななら大丈夫。部署同士が良い意味で競い合いながら、会社も一緒に成長していきたいです。
50周年という絶好のタイミングで辰巳が仕掛けてくれて、丸尾くんが外から支えてくれて、すごく良い流れができています。あとはこの心強いメンバーで、植田板金店をもっと魅力的でやりがいのある会社に、そして社員が幸せな時間を過ごせるようにしていきます。
市場は厳しいけれど、僕の中ではすごく希望に満ちています。50周年を迎えるのが、いま本当に楽しみです。

屋根と小屋の体感型展示場&コワーキングスペース「ひとやね」
今回取材をさせていただいたのは、国道2号線沿い古新田にある、見て・触れる屋根と小屋の体感型展示場と、コワーキングスペースを兼ねた「ひとやね」。屋根や小屋の展示を見るのはもちろん、お家のお悩みの相談やコワーキングでのんびり作業もしていただけます。


隈研吾氏設計監修の空間。光がたくさん入り、ウッドチップが敷き詰められていたりとあたたかい雰囲気です。フリーWi-Fi、電源、ドリンクコーナー(有料)はもちろん、個室や会議室もあります。


アイデアに煮詰まったら気分転換にジップラインも・・!ボルダリングもあり、お子様も退屈しません。


祝賀会、セミナー、社内イベントなど、イベント会場としても活用できるそう。 知識豊富なスタッフさんがいらっしゃるので、お気軽にご来場&お問い合わせください!


株式会社植田板金店
■ 屋根と小屋の体感型展示場&コワーキングスペース「ひとやね 」
〒701-0203 岡山県岡山市南区古新田1391-1
ワークスペース営業時間 平日9:00-18:00 最終受付17:00(土日祝、年末年始、お盆休み)
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