REPLOG

レプログ

2014.11.10

地域の「花」となるデザインのしごと

僕の高校は「岡山工業高等学校(岡工)の工業デザイン科」というところ。その頃、岡山にデザインを勉強する科を設ける高校は少なくて、中でもグラフィックデザインを扱うのは岡工と、当時の高梁工業高等学校くらい。デザイン科も、今となってはそれほど珍しくないかもしれませんが、その頃は学年1クラスしかありませんでした。

ちなみにその頃、デザインでパソコンなんて使いませんでしたから、入学して最初に習うことは、絵の具をつけた筆と先の丸いガラス棒を箸のように持ち、定規にある凹んだ溝を滑らせて直線を引く「溝引き(みぞびき)」。この方法でどれだけ細くて美しい直線が引けるかが、デザイナーのスキルの一つだったそんな頃でした。

今回は、その岡工デザイン科の大先輩で、岡工どころか岡山が誇るインダストリアルデザイナー、岡山や九州など各地を走る電車のデザインのほか、建築や地域おこしのプロジェクトなども手掛ける「水戸岡鋭治」さんの著書「電車をデザインする仕事 「ななつ星in九州」のデザイナー水戸岡鋭治の流儀」からです。

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(レプ太通信 2014年12月号)

本当に優れたデザインとは何かーー。私は今でもこの答えを見つけられずにいます。

この方にそんな風に言われてしまうと、私などどうしていいのかわからなくなりますが、著書「電車をデザインする仕事」の冒頭でこうおっしゃるのは、岡山出身のデザイナー「水戸岡鋭治」さん。

水戸岡さんの手がけられたお仕事は、岡山市の路面電車として走る超低床電車「MOMO」のほか、九州周遊の豪華寝台列車「ななつ星in九州」など多数。

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By Rsa (Own work) [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

それらのデザインには、利用する乗客やそこで働く人たちのこと、また地域の事業としての車両が、環境にもたらす効果などを広く俯瞰して創りあげた、デザイナーの美意識だけではない「パブリックデザインとしての正しい答え」を盛り込んであるのだそうです。

水戸岡さんの「仕事」への考え方は
引用企業人としての稼ぎ仕事を「米仕事」、環境や文化を大切にし、社会人として公共や自分に繋がる務めの仕事を「花仕事」
というものだそうです。

仕事として利益を追うなら米仕事が優先になってしまいますが、水戸岡さんの場合は、できるだけ文化を持ち込んだ花仕事をする方が、仕事として長続きしたり、本当のファンづくりにつながり、世の中を良くしたいと希求する心「ソーシャルモチベーション」の源になっているのだそうです。
私たちも普段から自分においての「花仕事」は何なのか?そんな風に考えていくことで、自分の今までとは違う新たな路線が開通!なんてことがあるのかもしれないですね。

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